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治療効果だけではなく、QOLを考慮したがん治療とは

がんにかかったらどんな年代でも大変

2017年の調査報告では、2015年にがんに罹患した人は、合計で89万1,445人です。男性は30代前半から、女性は20代後半から増え始め、50代後半からは男性の患者数が多くなります。


がんは、1981年(昭和56年)から日本の死亡原因の1位になっています。そのため、国は1984年(昭和59年)から10年ごとの目標・計画を実施し、がんの対策が進められてきました。

2016年(平成28年)には、がん対策基本法の改正、2018年(平成30年)からは、がん予防、がん医療の充実、がんとの共生を3本の柱とした「第3期がん対策推進基本計画」が実施され、さらにがん患者さんのQOLが向上するための研究が続けられています。

もし今現在はがんとは無関係の生活を送っていたとしても、将来、自分自身や家族ががんと診断されることがあるかもしれません。きっと大きな動揺があることでしょう。そのときに少しでも落ち着いて病と向き合えるように、どこで信頼できる情報を得ることができるか、どのような治療方法があり治療費はどれくらいかかるのか、利用できる制度はあるか、など普段から気に留めて調べておきましょう。

がんと向き合いながら、でも人間らしく

大腸がんと診断されたAさん(69歳、男性)のケースをご紹介します。

Aさんはリフォーム会社を経営していました。3人のお子さんたちはすでに独立されています。2年前に長男(40歳)に会社を引き継いだ後は、奥様と旅行に出かる時間もできて、セカンドライフを楽しみたいと考えていらっしゃいました。

ところが昨年、大腸がんが再発したことを医師から告げられました。Aさんは、66歳のときに大腸がんの手術を受けましたが、その後は順調に回復していました。「もう大丈夫」と思っていた矢先のことで、大変落胆されたそうです。

治療法を考えるためにがんの状態の説明があり、その後治療方針を決めていきます。現時点で科学的な根拠に基づいて、効果や安全性が証明されているもっとも推奨される治療のことを「標準治療」(三大治療)といいます。

1. 手術
がんを体内から切除します。手術は体に大きな負担をかけるため、リスクや合併症について十分納得して同意することが重要です。

2. 薬物療法(抗がん剤療法)
薬物療法で使われる薬には、「細胞障害性抗がん薬」、「内分泌療法役(ホルモン療法薬)、「分子標的薬」などの種類があります。がんを治す、進行を抑える、症状をやわらげる、などを目的とした治療です。薬により効果や副作用は異なるため、治療を始める前に確認することが大切です。

3. 放射線治療
人工的に作り出した放射線を患部にあてて、がん細胞を破壊します。がんを治す、症状をやわらげる、などを目的とした治療です。さまざまな副作用が起こる可能性があります。先進医療として行われる場合は、公的医療保険で適用されない自己負担の費用が発生します。

担当医は、病気の進行度やAさんの体の状態に合わせて、最適と考えられる治療法のほか、複数の治療法を説明してくれました。

Aさんとご家族は、担当医に質問したり自分たちで調べたりしましたが、Aさんのケースでは根治することは難しいことがわかりました。Aさんは、自分らしく生活できるように、体に負荷のかかる治療をせず、今後はがんの進行を抑えて症状を和らげることを目的とする治療を行うことを決意しました。

年金生活でも保険があったから前向きにがんと向き合えた

Aさんは、ご家族や担当医、医療スタッフ、幼なじみなど周りの方々のサポートもあり、不安な気持ちを抱えながらも少しずつ「今を大切にして生きよう」と思えるようになったとおっしゃいます。

前向きにがんと付き合えた要因の一つには、「医療保険」の存在があったそうです。Aさんが加入していた医療保険は、入院給付金のほかに通院給付金や手術給付金、放射線治療給付金、先進医療給付金が支払われる内容になっていました。以前、奥様と一緒に加入した保険です。

今後入院などをして医療費がかかった場合、「年金生活で貯蓄から大きく支出するのではないか」と考えると、不安になります。奥様と一緒に、高額療養費制度や医療費控除などについても確認しました。

がんとうまく付き合っていく選択

国では、2014年(平成26年)から「がん研究10か年戦略」に基づいて、これまでも取り組んできた「治す」治療法の開発だけでなく、苦痛をやわらげる治療法や早期発見、がんと共に生きる、という観点からがんの研究が進められています。

がん治療は進化し続け、「がんと闘う時代」から、「向き合いながら治療する、あるいは治療しないという選択ができる時代」になっています。

SJ20-17271